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現地レポート

懸命な男に流れを変える何かを見た RSS

2016年1月2日 19時27分

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勝ちはしたけど、決して納得できる内容ではない。ゲーム後の浮かない表情は、そういう気持ちの表れだった。

「第91回天皇杯・第82回皇后杯(以下、オールジャパン2016)」は3日目。男子2回戦、NBL12位の西宮ストークスは大学3位の拓殖大学を101-78で退け、3回戦進出を決めた。

しかし西宮ストークスのポイントガード、㉜畠山 俊樹選手はゲーム後、納得のいかないといった表情でロッカールームへ下がっていった。その理由を畠山選手が教えてくれた。

チームの攻撃を司る西宮ストークス㉜畠山 俊樹選手

チームの攻撃を司る西宮ストークス㉜畠山 俊樹選手

「大学生相手に高いモチベーションを保つことは大変だとわかっていました。でも僕自身、青山学院大学時代にオールジャパンでレバンガ北海道に勝った経験があるので、大学生の危険性もわかっていたんです。でも今日のゲームでは小さなミスを重ねたり、集中力が欠けている場面もあって、勝ったけれどもプロとしてはどうだったんだろうと……」

カテゴリーの異なるチームと対戦できることはオールジャパンの特徴であり、おもしろいところでもある。しかし一方で、自分たちよりカテゴリーが下のチームと対戦することは、難しさもある。勝つことは当然であり、負けることはおろか、接戦になっても何を言われるかわからない。歴然としているはずのフィジカルコンタクトも、相手はファウル覚悟で体をぶつけてくる。それに対して熱くなることは許されず、冷静に、余裕をもって対処しなければならない。それは相手を下に見ることととは、もちろん違う。

「大学生でも高校生でも、もちろん社会人でも、バスケットをやっていることに変わりはありません。そんな相手をなめるような態度をとったら、自分のプライドが傷ついてしまいます。それにそういう姿勢、態度を見ている人は見ているものです。だから僕は相手が誰であれ、チャラチャラしたバスケットをしたくないし、真剣に戦って勝ちにこだわりたいんです」

どんな相手にも全力で戦い、それでいて余裕を持った姿勢を見せるチームがリーグの上位に立っている。「そこが僕たちと、上位チームの違い」だと畠山選手自身も認める。シーズン中もチーム内にときおり流れる「やられて当たり前」という雰囲気を、畠山選手は真っ向から「嫌だ」と突っぱねる。

相手が大学生でも、ルーズボールまで手を抜かない

相手が大学生でも、ルーズボールまで手を抜かない

「僕は一生懸命やってなんぼの選手です。だからこそ、どんな相手にも一生懸命やることだけは負けたくないんです。プロだから一生懸命やらなくていいのかといえば、それは違う。一生懸命やらなければ、バスケットは楽しくないですから」

「楽しむ」とは「楽をする」こととは違う。一生懸命プレイして、結果を出すことを「楽しむ」ことである。努力の大切さは高校――宮城・明成高校時代に培ったものだ。そのおかげで畠山選手は、昨年ウインターカップ4回目の優勝を果たした明成高校の、ウインターカップ初優勝を経験できたのだ。

明日の3回戦はNBL3位の東芝ブレイブサンダース神奈川が相手。今シーズン、アイシンシーホース三河に勝っている西宮ストークスだが、東芝神奈川には3連敗している。

「明日、今シーズンの対東芝神奈川戦、1勝をもぎ取ります。セットプレイの多いチームなので、その起点となるポイントガードを僕がしっかり止めて、⑭辻 直人選手や㉒ニック・ファジーカス選手といった主軸をいかに止めるか。そのうえで自分たちのバスケットができたらチャンスはあります」

どんな相手にも一生懸命さを忘れない司令塔はチームの、ゲームの、そしてオールジャパンの流れをも変える。

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