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現地レポート

挑み続けるシューター RSS

2016年1月11日 20時00分

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理想と現実はそう簡単に合致してくれない。しかしそれに挑み続けることで成長の道は広がっていく。

「第91回天皇杯・第82回皇后杯(以下、オールジャパン2016)」は大会最終日、7日目を迎え、男子決勝、アイシンシーホース三河とリンク栃木ブレックスの一戦は89-73で、アイシン三河が5年ぶり9回目に天皇杯を下賜された。チーム史上、またプロチームとしてオールジャパン初優勝を目指したリンク栃木は、最後の一歩が出ずに道を閉ざされた。

21得点を挙げたリンク栃木ブレックス㉕古川 孝敏選手

21得点を挙げたリンク栃木ブレックス㉕古川 孝敏選手

リンク栃木のシューター㉕古川 孝敏選手は、

「失点が89点で、リバウンドも取れなかった。そのうえ自分たちの得点も伸びなかった……そのままの結果だと思います。守れないし、走れないでは自分たちのバスケットはうまくいかないですよね」

と敗戦を認める。

大会を通じてチームの自信の根源ともなってきた「泥臭さと我慢」も出しきれなかった。それは、アイシン三河がそれを出させなかったと言ったほうがいいかもしれない。

「悔しいですよ。特に決勝戦で負けることは本当にもったいない。当たり前のことですが、その悔しさを次につなげたいし、借りは絶対に返しますよ」

古川選手が反撃の矛先として捉えるのは、アイシン三河だけでなく、同じく日本を代表するシューター、アイシン三河⑭金丸 晃輔選手にもある。むろん彼だけを見据えているわけではない。東芝ブレイブサンダース神奈川⑭辻 直人選手やトヨタ自動車アルバルク東京の⑯松井 啓十郎選手など、日本代表クラスのシューターはすべてライバルである。しかし直近の日本代表活動でやりあった金丸選手が同じコートに立てば「負けたくない。やらせなくない。でも俺はやってやる」という気持ちを抱える。

アイシンシーホース三河⑭金丸 晃輔選手(右)とのマッチアップがお互いの力を引き上げていく

アイシンシーホース三河⑭金丸 晃輔選手(右)とのマッチアップがお互いの力を引き上げていく

昨年9月に行なわれた「第28回FIBA ASIA男子バスケットボール選手権大会」では、大会直前に金丸選手がケガのためチームを離脱。古川選手は日本のシューターとして活躍したが、「金丸選手がいたらとか、辻選手がいたらと思われたくはないし、もし彼らがいたとしても、シューターのポジションは自分のものにするつもりだった」と語っていた。同じシューターでもプレイスタイルは異なる。それだけに単純に比較されたくなかったし、それ以上に自分がポジション争いを勝ち取る気持ちを強く持っていたのだ。

しかし、だからこそ彼らに対して「常に負けたくない思いはあるし、攻守においてアグレッシブに、激しくプレイするという点では自信がある」と古川選手は言う。

オールジャパン2016の決勝戦では「いかにあいつを止めるか……乗らせたくなかったので、自分のオフェンスよりもディフェンスのことを考えていました」と言い、古川選手の21得点に対して、金丸選手を19得点に抑えている。数字だけを見れば古川選手の勝利だが、チーム自体が負けているし、個人としても決して満足をしていない。それはアジア選手権での思いと重なる。

「(アジア選手権は)最高の結果ではなかったですけど、ここ数年のなかでは結果が上向いた大会。その大会でゲームに出て、自分のプレイができた自信と、一方で気づけるところもたくさんありました。だからこのままでいたくないという気持ちが芽生えたんです」

今回は敗れたが、勝ちと負けを重ねることで、チームとしても、個人としてもプレイの領域は広がっていく。それは理想が現実に、少しずつではあるが、近づいていくことでもある。リンク栃木の、そして日本の得点力はそうして磨かれていく。

金丸選手の優勝インタビューをベンチで聞く古川選手。その悔しさを今後に生かしたいところだ

金丸選手の優勝インタビューをベンチで聞く古川選手(ベンチ左から2番目)。その悔しさを今後に生かしたいところだ

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