JBA

JBA

現地レポート

どんなときも RSS

2016年1月9日 14時55分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

痒い所に手が届く。そんなプレイヤーがいるとヘッドコーチは計算がしやすい。相手チームにとっては嫌な選手でもある。しかしそんなユーティリティーなプレイヤーも、ファウルトラブルには手も足も出せなかった。そのあたりは課題と言ってもいい。

「第91回天皇杯・第82回皇后杯(以下、オールジャパン2016)」は5日目。女子準決勝、シャンソン化粧品シャンソンVマジックは、JX-ENEOSサンフラワーズに52-79で敗れた。シャンソン化粧品㉕井澗 絢音選手は「JX-ENEOSはインサイドの2人(⑩渡嘉敷 来夢選手と㉑間宮 佑圭選手)が攻めてくるのはわかっていたのですが、前半から彼女たちを止められなかった」と、敗因に挙げた。その言葉どおり、アジアを代表するインサイドでもある渡嘉敷選手が20得点・10リバウンド、間宮選手が27得点・16リバウンドを記録すれば、相手チームの勝利は遠のいてしまう。

ユーティリティーな活躍をするシャンソン化粧品 シャンソンVマジック㉕井澗 絢音選手

ユーティリティーな活躍をするシャンソン化粧品 シャンソンVマジック㉕井澗 絢音選手

それでもシャンソン化粧品に勢いがあるのは、⑥本川 紗奈生選手が女子日本代表チームで自信をつけ、⑫三好 南穂選手と㉒河村 美幸選手が、それぞれアウトサイドとインサイドで力を発揮できているからだ。彼女たちの成長は大きい。しかしそこで忘れてはいけないのが、井澗選手の存在である。愛知・桜花学園高校を卒業して2年目のプレイヤーだが、味方が攻撃しやすくなるようなスペースを作ったり、逆に守る位置を的確に取ることで、相手の攻撃を防ぐこともできる。いわば“玄人好み”の選手だが、そういう選手がいるチームは強い。

「チームには得点を取る選手がいるので、自分としてはチームに流れを作ることが役割だと思っています。特にチームメイトの足が止まったときなどは、動くことで流れはできるので」

井澗選手は自分のプレイスタイルをそう語る。それは桜花学園高校だけでなく、名古屋市立若水中学校時代から教わってきたことだ。いかに味方のスペースを作り、相手のスペースを消すか。

それだけではない。井澗選手は174cmと決して大きくないが、それでもリバウンドに飛び込む積極性を持っている。これもまた、シュートを落とした選手を叱るのではなく、リバウンドに行かなかった選手を叱る、中学時代のコーチの教えが染みついているのだろう。

「オフェンスもディフェンスもリバウンドへの意識は常に持っています。リバウンドを取るために動くことで、自分のリズムも生まれてきます」

JX-ENEOS戦ではファウルがかさみ、リバウンドに積極的に飛び込めなくなった。それがチームの勢いをもうひとつ加速させられなかった要因でもある。ファウルをいかに抑えるか、これは彼女の課題だろう。

「あとはシュート力。シュート力がつけば、ディフェンスを引き寄せてパスをすることもできます」

終盤にマッチアップしたJX-ENEOSサンフラワーズ㉓大沼 美琴選手も同じタイプの選手

終盤にマッチアップしたJX-ENEOSサンフラワーズ㉓大沼 美琴選手も同じタイプの選手

自分の持ち味と、克服すべき課題をどう結びつけていくか。

JX-ENEOSにも同じような選手がいる。㉓大沼 美琴選手だ。彼女もまた痒い所に手が届く選手で、元々スペーシングやリバウンドを持ち味とする。ただ大沼選手はそこにシュート力を身につけ、プレイの幅を広げている。井澗選手の目指すところも、彼女が意識しているか否かは別として、そうしたところになるだろう。

昨年はケガのためオールジャパンのコートに立っていない。初めてのオールジャパン準決勝で、序盤にマッチアップしたのはJX-ENEOSが世界に誇るポイントガード⓪吉田 亜沙美選手。そんな緊張しそうな場面でも「特別に思うところはなかったかな……」と苦笑いを見せる井澗選手。そんな図太さというか、あっけらかんとしたところも彼女の魅力である。
それでいて、痒い所には手が届く。最後までそれを貫ける選手がいるチームは強い。

終盤にファウルアウトした井澗選手。今後はファウルをどう抑えるかが課題の一つ

終盤にファウルアウトした井澗選手。今後はファウルをどう抑えるかが課題の一つ

[ 記事URL ]