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現地レポート

40分の使い道 RSS

2016年1月3日 21時02分

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戦力に差があることは十分にわかっている。しかし、目の前のゲームをただ無意味なものにはしたくない。

「第91回天皇杯・第82回皇后杯(以下、オールジャパン2016)」は3日目。女子3回戦、社会人1位の秋田銀行とWJBL2位の富士通 レッドウェーブの一戦は、43-101で富士通が勝利し、準々決勝進出を決めた。

選手に指示を伝える秋田銀行・小笠原 真人ヘッドコーチ

選手に指示を伝える秋田銀行・小笠原 真人ヘッドコーチ

敗れた秋田銀行の小笠原 真人ヘッドコーチは、昨シーズンまでWJBLのデンソー アイリスのアシスタントコーチを務めていた。その経験もあり、序盤いきなりゾーンディフェンスを敷いてきた。富士通がゾーンアタックを決して得意としていないチームだと知っていたからだ。

「シュートが入らなければラッキー、入ったら仕方がないというレベルのゾーンです。案の定、富士通の選手たちがシュートを決めてきたので、これまで自分たちがやってきたことを徹底しようとマンツーマンに戻しました。⓪長岡(萌映子)選手にダブルチームに行かなかったのも、そのためです。選手たちに普段よりも“もう一歩踏み込まなければ守れない”ということを感じてほしかったからです」

しかし、その一歩は簡単に踏み出せる距離ではない。小笠原ヘッドコーチもそれを十分に理解したうえで、それでも一歩前へと選手たちを鼓舞する。

今年2月には「第48回全日本実業団バスケットボール選手権大会」がある。オールジャパンは社会人チームにとって、そのための経験を積む絶好の舞台なのだ。一方で小笠原コーチは、それだけではないとも言う。

「基本的にはレベルが別物だと思っています。今日通用したことが2月の大会で通用するかと言えば、決してそうではありません。今の秋田銀行に必要なのは土台作りです。いくつかの仕掛けも施しましたが、私としては土台作りが【7】で、仕掛けが【3】の【7:3】くらいで、このゲームを考えていました」

チームトップの18得点を挙げた秋田銀行⑬伊藤 美和子選手

チームトップの18得点を挙げた秋田銀行⑬伊藤 美和子選手

銀行員でもある選手たちは17時までの勤務を終え、そこから体育館に集まり、22時の完全退出まで2時間程度しか練習ができないそうだ。それでも懸命に取り組む姿勢に小笠原コーチも「頭が下がる」と言っている。だからといって、それを負ける言い訳にはしたくない。今はまだ基本的なピボットなども練習しているが、少しずつ成長が垣間見えるところもある。

「今日もシュートは打てています。ただプレッシャーを強くかけられると決めきることができない。経験の差といえばそうなのですが、裏を返せば普段の練習でプレッシャーをかけられた状況を作れていない証拠でもあります。精度を上げることはすぐにできないかもしれないけど、プレッシャーのかかった練習に近づけることはできるはず。そこはこれからもこだわりたいですね」

勝負の世界である以上、勝ちと負けの結果は必ず出てくる。今日の予想もある程度はできていたはずだ。それでも目の前の40分をいかに有効に使うかを小笠原コーチは考えた。

「最初に敷いたゾーン……あれは(勝利を意識しすぎて)色気を出してしまった証拠です。やっぱりヘッドコーチがぶれてはいけませんね」

ヘッドコーチ自身の反省もあるが、オールジャパン2016で小笠原ヘッドコーチと秋田銀行の選手たちが学んだことは、必ず今後につながってくるはずだ。

どれだけ点差を離されても前を向き続けた秋田銀行

どれだけ点差を離されても前を向き続けた秋田銀行

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