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現地レポート

Mr.ワイヴァンズを目指して RSS

2016年1月2日 17時06分

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荒々しさは若さゆえの特権か――ディフェンスの間を強引なまでに割って入ったかと思えば、相手ベンチからの厳しい声にキッと顔を向ける。一方で倒されたチームメイトを引き起こすために一番に駆け寄り、ゲームが終われば、次のゲームのウォーミングアップをしている高校の先輩にきっちりと頭を下げに行く。

強気なアタックを仕掛けるパスラボ山形ワイヴァンズ①村上 駿斗選手

強気なアタックを仕掛けるパスラボ山形ワイヴァンズ①村上 駿斗選手

「第91回天皇杯・第82回皇后杯(以下、オールジャパン)」は2日目、男子2回戦。NBDL2位のパスラボ山形ワイヴァンズは社会人2位の黒田電気を85-75で破り、3回戦進出を決めた。このゲームで③ウィリアム・ナイト選手に次ぐ23得点を挙げたのが、パスラボ山形ワイヴァンズのルーキー、①村上 駿斗選手だ。地元・山形出身で来月20歳になる若者は、チーム関係者さえ「ルーキーらしくない」と言うほど、堂々としたプレイでチームを勝利に導いた。村上選手が言う。

「個人的には初めてのオールジャパンですし、チャレンジする気持ちでプレイしています。今日の相手は社会人でしたが、ハッスルして、プロとして勝ちにこだわりました」

勝利へのこだわりこそが、強気なプレイの根源にあるわけだ。高校時代、決して全国のトップクラスにいたわけではない。アンダーカテゴリーの日本代表に選ばれることもなかった。しかしだからこそ、プロ選手となった今は同年代の選手たちには負けたくない気持ちが強く、年上の選手たちにも簡単に引き下がるつもりはない。

チームはケガ人などが出て、実質6人で戦わなければいけない状況にある。それでも初めて出場したオールジャパンで2勝できたのは「金澤(篤志)ヘッドコーチやビリー(ウィリアム・ナイト選手)が『これをやろう』と言ったことに対して、みんなが徹底しようとしているからだ」と村上選手は言う。

そしてコート内でナイト選手が発する言葉を通訳しているのも、村上選手だ。山形県立山形南高校を卒業後、彼は「スラムダンク奨学金」を得て、1年間アメリカのサウスケントスクールでプレイしている。

③ウィリアム・ナイト選手とのコミュニケーション力もチームには欠かせない

③ウィリアム・ナイト選手とのコミュニケーション力もチームには欠かせない

「コートの中でビリーの言葉を通訳して、発信するようにしています。コート内のコミュニケーションをしっかり取ることこそが、僕が1年間アメリカで学んだ成果ですから」

強気なプレイを重ねながらも、状況を見る目は常に冷静だ。相手の言葉に反応しながらも、チームメイトには、たとえ先輩であっても、外国籍選手であっても、瞬発的に的確な指示を与える。そのあたりもまた「ルーキーらしくない」と言われるゆえんかもしれない。

明日の3回戦の相手はトヨタ自動車アルバルク東京だ。NBL1位(11月30日現在順位)で今大会出場を決めた、リーグ随一のタレント集団である。そんなNBLのトップチームに、NBDLのチームが公式戦で対戦できるのはオールジャパンだけ。これはチームと選手の名を上げるチャンスでもある。

「試合が終わった後に後悔するようなプレイだけはしたくありません。自分の力を出し切って、そのうえで課題が見つかれば、それを今後のシーズンで改善していく。そんな収穫のある試合にしたいです。明日も強気でアタックしていきますよ」

チーム名の“ワイヴァンズ”とは、古の伝説のドラゴンの名前であり、そこからチームの目指す荒々しい攻撃性と、冷静にゲームをコントロールするスタイルにかかっている。村上選手は“Mr.ワイヴァンズ”になれるのか。
荒々しいまでの若さはチームに覇気を生む。その気迫で開く扉もあるはずだ。

少人数だからこそできる深い連携で3回戦に挑むパスラボ山形ワイヴァンズ

少人数だからこそできる深い連携で、3回戦に挑むパスラボ山形ワイヴァンズ

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